五月に入るとスーパーやお花屋さんで菖蒲湯用の菖蒲の葉が売られているのを見かけます。「今まで入ったことないけれど今年は菖蒲湯に入ってみようかな」という方はもちろん、「端午の節句には毎年菖蒲湯に入っている」という方も、この菖蒲の葉を菖蒲湯以外に使うことってあまり無いのではないでしょうか。
古くから菖蒲は厄除けや病除けに使われてきたので、端午の節句には菖蒲の伝統的な使い方が色々あるんですよ。
メインは菖蒲湯ですが、今年は色々な使い方をして菖蒲を200%活用しちゃいましょう!
端午の節句の菖蒲は風呂以外にも使い道いろいろ!
まずはお風呂に入れる前の菖蒲の使い道です。
・菖蒲枕…昔、端午の節句の前日5月4日の夜に菖蒲の葉を編んだ枕で眠る習慣があったそうです。菖蒲の葉を編んで枕を作るのは大変なので、その後菖蒲の葉を枕の下に敷いて眠るようになったそうです。これなら気軽に試せそうですが、「枕や布団に染みがつきそう」と心配な場合は、菖蒲の葉をうすい紙で巻いて枕元に置いて眠るだけでもOKです。菖蒲枕に使った菖蒲は次の日菖蒲湯に使います。
・軒菖蒲・菖蒲屋根…5月4日の夜、菖蒲の束を軒先につるしたり屋根に載せて5日の朝には片づけます(5月5日に行うところもあります)。厄除けや火事除けを願って行う習慣です。今ではほとんど見かけなくなってしまったそうですが、マンションでもベランダの出入り口や物干しなどに吊るしておくと網戸越しの風で菖蒲の爽やかな香りが漂ってきて、確かに厄除けに効きそうですよ!
・菖蒲酒…本来はよく洗った菖蒲の根を刻んで日本酒に浸し、菖蒲の香りが移った酒を飲んで厄除けをしたそうです。でも今は根の部分がなかなか手に入らないので、菖蒲の葉の根元を刻んで代用します。徳利などに入れた日本酒に菖蒲を30分程浸したら完成です。五月らしい爽やかな香りのお酒だそうですよ。
・箸置き…菖蒲の葉を適当に切り、くるっとねじったり結んだりして箸置きにします。手綱こんにゃくのようにしてもいいかもしれませんね。お子さんの初節句のお祝い膳や、端午の節句のお食事に使うと、良い香りとともに雰囲気が出ていいですよ!菖蒲酒に使った残りを利用してもいいですね。
菖蒲湯に使用後の菖蒲は?
次に菖蒲湯の中とその後の菖蒲の使い道です。
・菖蒲湯…一番王道の使い方ですよね。菖蒲を輪ゴムなどで束ねて入れる方法と、バラバラのまま入れる方法と、葉を刻んで布袋やお茶パックなどに包んで熱湯で抽出したエキスを使う方法があります。たくさんの薬効があって、これから先の暑い夏も元気いっぱい健康に過ごせるように願って入ります。前夜に菖蒲枕で眠った場合はその時の菖蒲も忘れずに入れましょう。
・鉢巻…菖蒲湯に入りながら菖蒲の葉を鉢巻のように頭に巻き付けると、「より一層健康になる」「頭が良くなる」という言い伝えがあります。同じようにお腹に巻いて「健康になる」という言い伝えも。
・菖蒲笛…10センチくらいの長さに切って、葉の二枚になっている方を口にはさみ、息を吸い込んで音を出します。難しくてなかなか音が出ないので、お風呂の中でやるときはくれぐれものぼせないように注意しましょう!
・菖蒲切り…菖蒲の葉を刀に見立て、振り回してチャンバラ遊びをする風習です。武術の上達を願ったのが始まりですが、「鬼退治=厄払い」の意味もあります。
・菖蒲打ち…菖蒲の束を地面に思いっきり打ち付け、大きな音を出して厄を祓う風習です。家族で順番にやって、誰が一番大きな音が出せるか競っても楽しいですよ!
菖蒲湯の後、菖蒲打ちまでやったらけっこうボロボロになってしまうと思います。厄を払ってくれた菖蒲に感謝しつつ、袋に入れて捨てましょう。
菖蒲湯の残り湯は洗濯に使える?
菖蒲湯にも入って、菖蒲をとことん使い尽くしたら、あとに残ったのは菖蒲湯の残り湯だけですね。普段から残り湯を洗濯や掃除に再利用しているご家庭は多いと思いますが、菖蒲のエキスがしみ出ている菖蒲湯は洗濯に使えるのか気になりますよね?
菖蒲湯に入った後の残り湯は洗濯にも使えます。ただ、菖蒲と一緒にヨモギを入れた場合はヨモギの色が洗濯物に移ってしまう恐れがあるので、残り湯での洗濯はおすすめできません。
菖蒲のみの場合でも香りは移ってしまうかもしれませんので、香りが移ってもOKな洗濯物にだけ利用しましょう。その場合も、すすぎの水は水道水を使います。
最後に残り湯で雑巾を絞って床を拭いたら、家じゅうさっぱりしそうですね!
まとめ
昔の人は菖蒲湯以外にも色々な方法で菖蒲を活用し、健康を願ったり厄払いをしたりしていたんですね。
今まで菖蒲湯にしか菖蒲を使っていなかった人も、まだ菖蒲湯に入ったことがない人も、一度やってみたら「菖蒲湯だけじゃもったいない!」と菖蒲にハマるかもしれませんね!
端午の節句の風習以外に菖蒲の使い方を探しているのですが、なぜかほとんど見つかりません。今回ご紹介した以外にも、自分なりの使い方を探してみるのも楽しいかもしれませんね。