子供は成長が早いので、一年前にぴったりだった浴衣も今年は短くなってしまいます。また、お下がりをもらったり新しく買ったときにはサイズが大きかったりもしますよね。
子供の浴衣はサイズを調節しながら着せます。この記事は、浴衣の丈が長いときの直し方について書きました☆
子供の浴衣の裾の長さを直すには?
スカートやズボンなど洋服の場合、長すぎるときには裾上げをし、成長して短くなってしまったら裾を下ろすという方法が一般的ですよね。浴衣は生地が薄いですし裾が直線で縫いやすそうなので、まっすぐ折って縫いたくなってしまう方もいると思いますが、この方法は間違いなんです。
子供の浴衣や着物の場合、裾の長さは「腰上げ」で調節します。女性が浴衣や着物を着るとき、腰に「おはしょり」を作りますよね。裾の長さを合わせて「おはしょり」の部分を縫い留めることを「腰上げ」といいます。
男性の着物はおはしょりがありませんが、子供の場合は男女関係なく「腰上げ」が必須です。
去年のサイズでは短すぎるという場合には、去年のサイズの腰上げをほどいてアイロンがけし、新たに採寸して縫い直します。
新しく買った浴衣は、腰上げのしてあるものとしていないもの、腰上げが手縫いのものとアイロン縫いのものがあります。
腰上げをしないで売っているものは、各自でサイズを合わせて「上げ」をすることを見込んでそのままにしてあるのですね。
あらかじめ腰上げが縫われているものを更に短くしたい場合は縫い目をほどいて縫い直してもいいですが、そのうち成長してまた直すことになるので今ある縫い目はそのままにして、腰あげの内側にもう一段腰上げをするという方法でもいいと思います。
数センチの違いでしたら、元の腰上げの縫い目と平行に、上げたい長さの分だけずらして縫う方法もあります。
子供の浴衣の腰上げの簡単な縫い方
では、上げがされていない状態の子供の浴衣への腰上げの簡単な縫い方です☆
1.まず、どれだけ腰上げが必要か測ります。お子さんの首の付け根から足のくるぶしの高さまで、まっすぐ測ります(「着丈」と言います)。子供の浴衣なので、ちょっと短めでもOKですよ。メジャーで測るといいのですが、なければ荷造り用のビニールひもなど、伸びないひもなら何でもいいのでお子さんにあてて、着丈の長さで切ります。
2.浴衣の肩から裾までの長さ(「身丈」と言います)を測って、着丈の長さを引きます。この差が「腰上げ分」になります。ひもを使って着丈を測った場合は、浴衣にひもをまっすぐあてて、身丈との差は定規で測りましょう。
3.腰上げ位置を決めます。腰上げ分を半分に折って縫っていくのですが、「どの位置で折るか」で迷いますよね。一応、「身丈を10等分して、肩から4(裾から6)の位置を折り目にする」のが目安のようです。でもどのくらい腰上げをするかによってもバランスが違ってくると思いますので、私はいつも子供に着せてみてバランスのいいところで折るようにしています。折り目の位置を決めるときは後ろ身頃(背中)で見るとまっすぐなので決めやすいです。折り目だけ決めたら待ち針で一ヶ所だけ留めて、脱がせてしまって大丈夫です。
4.先ほど決めた折り目に沿って横にまっすぐ折っていきます。
まず背中心がずれないように折って、縫い目になる位置(腰上げ分が30センチだったら、半分に折ったので15センチの位置)に待ち針を留めます。そのまままっすぐ、両側の脇の線もずれないように縫い目の位置に待ち針を留めます。そのあと背中心と脇線の間も数か所、縫い目の位置に待ち針を留めておきましょう。
5.前身ごろは一ヶ所、縦に縫い目(おくみ線)があると思うので、そこがずれないように、同じく待ち針で留めます。
すると衿の部分がずれると思いますが、着たときに内側になる右側は衿幅の半分を出して待ち針で留めます。
着たときに外側になる左側は衿がずれないように揃えて待ち針で留めます。
左右とも、たるんだ分は二本くらいタックを取るように折って留めておきます。
6.縫う時は端から縫っていってもいいですが、私は背中心から外側に向かって縫っていきます。この時の縫い目は「二目落とし」といって、表から見ると2~3センチごとに小さな縫い目が二目ずつ見える縫い方なのですが、生地と同じ色の糸を使うなど縫い目が目立たないなら普通の「なみ縫い」でもOKですよ。でも私の感覚では二目落としの方がザクザク縫えるような気がします。
※腰上げ分が長すぎて、見た目にバランスのいいところで折ると縫い目が上になりすぎたり、脇(身八つ口)から見えてしまうという場合にも、腰あげの内側にもう一段腰上げをするという方法でいいと思います。
うちの息子も小柄なので幼稚園の頃この方法で腰上げをしていましたが、浴衣地は薄手なので見た目がモコモコしたり暑がったりはしませんでしたよ☆
子供の浴衣を腰上げなしで着せるのは?
子供が大きくなって、「腰上げを全部ほどくとちょうどいいんだけどなぁ……」ということもあるかもしれません。女の子だったら「おはしょりが無いのと同じだからムリだな……」ってなると思うのですが、男の子の場合には「男性の浴衣や着物にはおはしょりが無いんだから、いいんじゃない?」って思いますよね。
「子供の浴衣を腰上げなしで着せていいかどうか」というのは、その子の年齢によります。小学校低学年くらいまでの子供だったら、やっぱり腰上げがあったほうが良いと思います。もちろん、高学年で腰上げがあっても全くおかしくないです。
腰上げや肩あげは、子供が大きくなる前提で長く着られるように大きく作った着物を、体に合うように調節するための工夫でした。「上げがある」ということは「これからもっと大きく成長する」という意味があります。昔、幼い子供が無事に成長することが今より難しかった時代からのゲン担ぎなので「上げがない着物を子供が着る」というのは縁起が悪いとされているのです。
とはいえ、男の子ですから、大きめサイズに買い替えても来年以降はイヤがって着てくれないかもしれないし……。というのであれば、小学生なら違和感なく着られるかもしれません。ママの考えで決めていいと思います。
まとめ
子供の浴衣は成長に合わせて調節しながら長く着られるように、大きめに作って「あげ」をします。浴衣の丈を直すときは裾ではなく「腰上げ」で調節します。
子供が上げのある着物を着るということは「これからもっと大きく成長する」という、昔からの親の願いが込められていますので、小学生の間くらいまでは上げをして着るのが普通です。
腰あげの縫い方は工程を見ると面倒くさいような気がしますが、簡単に言ってしまえば「バランスのいいところでちょうどいい長さになるように折ってまっすぐ縫う」ということですので、やってみると思ったよりあっという間にできてしまいますよ☆