子供が初めて自家中毒(アセトン血性嘔吐症)と診断されたとき、びっくりした方も多いと思います。「自家中毒」って響きもなんだかこわい感じがしますよね。
感染症と違って原因がよくわからないですし、どうしてなったのか、いつになったら治るのかと心配ですよね。
うちの息子も卒園前に初めて診断され、それ以来、症状が出るたびに対処法を身につけながら自家中毒とつきあっています。
受診の際に小児科の先生に色々と質問をしたので、教えていただいたことをまとめてみました。
自家中毒の原因は親なの?
「うちの子が自家中毒になった原因は何だろう?」と、ネットで検索した方は多いと思います。私もそうでした。原因が分からないというのは不安なものですよね。
その結果、「叱りすぎ」だとか「愛情不足」だとか、逆に「過保護」だとか「甘やかしすぎ」だとか、親、特に母親が原因かのように書かれていることが多いのに驚きました。
中には「主治医から直接言われた」というママもいて、本当に気の毒です。
実際、自家中毒(アセトン血性嘔吐症)のはっきりとした原因はまだ解明されていない点も多いそうです。それなのに昔から「母親のせい」だと言われているのはなぜなのでしょう。
私が小児科の先生から言われたのは、
「これはこの子の体質や性格によるものだから、うまく付き合っていくしかない」
ということでした。もちろん母親のせいなんかじゃないそうです。
自家中毒になる「原因」ははっきりとは分かりませんが、発症する「きっかけ」は風邪などの病気や疲労といった身体的ストレスや心理的ストレスであることがほとんどです。
うちの息子の場合は、幼稚園で流行した嘔吐症に感染したことがきっかけでした。元々、赤ちゃんの頃から吐きやすい子でしたが、いつもなら2~3日で治るのに、この時はいつまでも回復せずに吐き続けていたので検査をしてもらい、自家中毒だと判明しました。
うちの子のように、感染症による嘔吐がきっかけで自家中毒を発症する子は割と多いそうです。
さらに息子の場合は、大好きな幼稚園を卒園して小学校に入学するという時期でした。
「しょうがっこう、たのしみー!」と言って普段と変わらず元気そうだったものの、小さな心の中は寂しさと期待と不安でいっぱいだったのでしょう。心理的ストレスに感染症の嘔吐という肉体的ストレスが重なって、自家中毒を発症してしまったのだと思います。
うちは一人っ子ですが、兄弟を育てているお母さんが子供たちを分け隔てなく、同じように育てたとしても、全く正反対の性格になることだってありますよね。食べ物の好みや体質だって、子供によって違いがあって当然です。自家中毒を発症する子もいればしない子もいて当たり前で、兄弟だからといって全く同じようになるわけではありませんよね。だから、育て方がどうのこうので自家中毒になる訳じゃないと思います。
親が関係しているとしたら、遺伝というか「体質が似てしまった」ということはあるかもしれません。でも、それだってもちろん「親のせい」ではありませんよね!
もしお母さん自身も子供のころ自家中毒に苦しんでいた経験があるとしたら、むしろ「ママも子供のころ、同じようになっていたよ」とか「ママは気持ち悪くなったとき、こうしていたよ」「こうすると少し楽だよ」などとアドバイスしてあげられますよね!子供も「ママも子供のころ同じだったんだ」と分かれば安心すると思いますよ。
お母さんが「私のせいで?」と落ち込んだり心配しすぎたりすると、子供にも伝わって却って良くない気がします。
子供の辛さには共感してあげながらも「大丈夫、大丈夫!」と励ましながら、その子に合う対処法を見つけて、症状が出ている時期を一緒に乗り切るようにすると子供も心強いのではないでしょうか。
自家中毒になりやすい子の特徴とは?
息子の主治医の先生が「体質や性格によるもの」と言ったように、「自家中毒になりやすい子」には次のような特徴があるそうです。
・几帳面(生真面目、神経質)
・心配性
・細身の男の子
・一人っ子
・小学生
うちの子、全部当てはまります……。
ただし、「これに当てはまるから自家中毒になる」というわけではありませんし、「当てはまらないから自家中毒にならない」というわけでもありませんよ。女の子だって、兄弟のいる子だって、ふくよかな子だって、幼児だって、自家中毒になることはよくあります。
ただ「傾向として多い」ということだそうです。
一人っ子が比較的多いということから、「一人っ子=甘やかされている、過保護」というイメージだけで、自家中毒の原因として「甘やかし過ぎ」とか「過保護」とかが挙げられているのでしょうか……。
とはいえ、たしかに生真面目な子はあれこれ気になることも多いようで……「大丈夫かな?」「ちゃんとできるかな?」など、何かと心配していたりもするので、知らず知らずストレスをためてしまっていることが多いみたいです。
それにもかかわらず、子供の場合、心配事やストレスを全く自覚していないことも多いということです。
普段の会話などで気づいたら、「そんなことまで気にしなくて大丈夫だよー!」などと声をかけてあげたり、ストレスを発散できる方法を一緒に見つけてあげたりするといいですね。
ちょくちょくリフレッシュさせることで、そのうち自分でストレスをうまくコントロールできるようになるかもしれません。
自家中毒はいつ治る?
自家中毒は、ある程度落ち着いて症状が出なくなっても、また忘れた頃に出始めるということを繰り返すので、「いつになったら治るの?」と心配になりますよね。
診察のとき主治医の先生に聞いてみたら、「中学生になると治る子が多いですよ」と言われました。
小学生くらいの年齢は、自律神経のバランスやエネルギー代謝の機能が不安定になりやすい時期なのだそうですが、中学生くらいになるとしだいに安定してくるということです。体格もしっかりしてきたり、ストレスへの対処法も自分なりに見つけることができたりと、心とからだの両方が成長するにしたがい、だんだんと治っていくのだそうですよ。
まとめ
子供の自家中毒(アセトン血性嘔吐症)は、親、特に母親が原因のように言われることがありますが、そうではなく、子供自身の体質や性格によるものです。
自家中毒になりやすい子として「几帳面」「心配性」などいくつかの特徴が挙げられています。性格面はある程度は仕方のないことですが、子供は自覚なしにストレスをため込んでしまっていることも多いので、気づいたらその都度声をかけてあげたり、リフレッシュする機会を作ったりすると良さそうですね。
治ったかな?と思ってもまた発症してしまうことの多い自家中毒。一体いつまで続くのかと心配になりますが、多くの子は中学生くらいの頃、思春期になると症状が出なくなり、自然に治るそうです。
子供が気持ち悪そうにしているのは見ていても辛いものですが、子供の辛さに共感しつつ「そのうち治るから大丈夫だよ」と励ましながら、その子に合った対処法を見つけて一緒に乗り切るようにすると、子供も心強いと思いますよ。