ついさっきまで元気だった子供が、急におとなしくなって「気持ち悪い」と言ったり吐いてしまったりすると本当に心配ですよね。病気によるものから体質によるものまで吐き気や嘔吐の原因はさまざまですが、それ以外に何も症状がなく、しばらくするとケロッと治ってしまうときにはそのまま様子を見ることもあるかと思います。でも、ちょくちょくそのような症状を繰り返す場合には?
この記事では、うちの息子の場合とその対処法について書きました。
子供の吐き気が続くとき
子供は消化器官や神経などが未熟なため大人と比べると吐きやすいものですが、うちの息子は赤ちゃんの頃から「特に吐きやすい子」でした。大泣きして吐く、風邪を引けば吐く、熱を出せば必ず吐く、便秘になっても吐く、疲れが出ると吐く、時には、はしゃぎすぎて吐くなんてことも。
三半規管が強いのか、なぜか乗り物酔いは全くしないのですが、帽子のゴムやタートルネックなど喉の部分に当たるものや、口を大きく開けて喉を見せようとすることが苦手で、必ず「おえっ!」となってしまいます。
母親の私も小さい頃はタートルネックや診察で舌を押さえるヘラが苦手で同じようにえずいていましたし、更に乗り物酔いも酷くて、乗った瞬間気持ち悪くなったりしていました。でも成長と共に自然と症状はなくなり、気付けば高校生の頃には乗り物酔いも克服していたので、「息子もそういう体質なんだろう」くらいに思っていました。
卒園を間近に控えたある日、幼稚園で嘔吐が流行し、息子も流行に乗ってしまいました。かかりつけの小児科で診てもらい、いつもどおり2~3日もすれば治るだろうと思っていたのですが、なぜかいつまでたっても回復せず、毎日吐き続けていました。水を飲んでも吐いてしまうので本当に心配になり、再び小児科を受診した結果、「自家中毒」と診断されました。
子供に多い自家中毒の診断方法は?
「自家中毒」というのは「アセトン血性嘔吐症」の別名で、「周期性嘔吐症」とも呼ばれています。元気な子供が突然吐き気を訴えたり嘔吐したりし、数時間から数日続いたあと、また元気になるというのを繰り返します。
私たちは通常、糖をエネルギーに変えて活動するのですが、子供はエネルギー代謝の機能が未熟で不安定なため、糖をうまく代謝できないことがあるのだそうです。その場合、糖の代わりに脂肪をエネルギーとして代謝するのですが、その時に出るケトン体(アセトン)という物質が血液中に増えてしまうことで、吐き気や嘔吐といった症状が出るのだそうです。
吐き気や嘔吐が自家中毒によるものかどうかの診断は、尿検査で尿の中にケトン体が出ているか調べるだけなので簡単ですし、すぐにわかります。痛い採血や難しい検査ではないので、小さい子供でも安心して調べてもらえますよ。「もしかして自家中毒…?」と思ったら、かかりつけの小児科に相談して調べてもらうと安心ですね。
子供が自家中毒になったときの対処法
うちの息子が自家中毒と診断されたとき、小児科の先生から頂いたのは薬ではなく
「飴を舐めさせてみて。」
というアドバイスでした。
正直、「えっ?それだけ?」とびっくりしたのですが、早速帰りに買って舐めさせてみたら、あんなに何日も吐き続けて辛い思いをしていたのがウソのように治まり、少しずつ食事もとれるようになってみるみる回復しました。
これは、脂肪をエネルギー源にしなくてすむように糖を補うのが目的なのだそうです。吐き気のあるときにも、飴なら胃に負担をかけずに糖を摂取できますし、子供の心理的にも「飴がお薬」というのは元気が出るみたいでした。
そのほか、
・よくなったあとも飴を持ち歩き、怪しいと思ったらすぐに舐めさせる。
・水分をこまめにしっかり摂らせる。
・症状が出ているときの食事は、脂肪分を摂らない。
・普段からしっかりと睡眠をとり、体を休ませる。
といったアドバイスを頂き、しばらくの間実行していたらそのうち全く症状が出なくなり、何年間か自家中毒を忘れて過ごせました。
とはいえ、自家中毒は忘れた頃に再び発症することもあるので、園や学校に通っている子供の場合は先生にも症状や対処法を伝えておくのがおすすめです。
息子も、小学生になって数年がたち、時々症状が出ることもありました。朝に吐き気が起こることも多いので、そういうときは飴を舐めながら登校するのですが、こういった場合も先生に「自家中毒の症状を抑えるため」だと伝わっていた方がいいですよね。症状が出始めたら担任の先生に連絡帳などで伝えておくと安心です。
ただ、お友だちに見つかって「学校で飴舐めてる!」とか言われたら息子も嫌だろうし、さすがに薬と違って飴は学校で舐めさせられないよなぁ……と思い込んでいたのですが、ある日、給食後に気分が悪くなったことがあり、保健室の先生と担任の先生の配慮で保健室の冷蔵庫で飴を預かってくれるようになりました。「学校にいる間に気分が悪くなっても、保健室に行けば飴を舐めさせてもらえる」と思うだけでずいぶん安心できるみたいですよ。
飴だけでは症状が改善しない場合や、学校の方針などで飴を舐めさせることができない場合などには、かかりつけの小児科で吐き気止めを出してもらうこともできます。
息子の場合、修学旅行前でワクワクしていた時期に症状が出始めてしまい不安そうだったので、久々に受診して初めて吐き気止めを出してもらいました。
頓服薬として症状が出そうになったタイミングで飲むこともできるし、症状が続いている時期には毎朝予防的に飲むこともできるものを処方していただき、先生に「お薬を1つだけお守りがわりにポケットに入れて持ち歩くようにすると安心できるよ。大きくなったら、そのうちに治っちゃうから心配しなくて大丈夫だよ。」と励ましてもらって安心したようでした☆
親としては「長期間毎日薬を飲み続けて大丈夫なのかな?」と心配になってしまったのですが、小児科の先生の話によると、処方してもらった吐き気止め自体は用法用量を守れば毎日飲み続けても問題ないし、自家中毒は、飴や吐き気止めの薬で乗りきれる程度なら症状は軽いので心配はいらないそうです。飴をたくさん舐めるのが気になる時には、ぶどう糖のタブレットもおすすめです。体が必要としている糖分はぶどう糖なので、それをダイレクトに摂取できます。
うちの息子が気に入って食べているのがこちらのぶどう糖です。
大丸本舗 ぶどう糖 18粒 |
ラムネ菓子のように粉末状のぶどう糖を小さく固めてあって、しかも個包装なので持ち歩きも便利ですよ。
飴はいろいろな種類があって味も楽しめますが、効果としては「ぶどう糖タブレットの方が効き目がある!」と息子は言っています。でも小さな子供には気分的にも好きな味の飴の方が効果があるかもしれませんので、いろいろ試してみるといいかもしれませんね。
上に挙げた、小児科の先生に聞いたアドバイスのほかに、うちの息子の場合はお風呂に入るとスッと良くなることが多いみたいです。
自家中毒は自律神経も関係しているそうなのですが、緊張でドキドキしたり疲れたり何か楽しみなことがあってワクワクしたりすると交感神経が優位になりますよね。そういう時に症状が出てしまうことって多いです。逆に、リラックスしたりぐっすり眠ったりしているような副交感神経が優位になっているときには症状が出ないことが多いです。何か緊張するような場面があったり、スポーツや遊びでちょっと疲れが出てしまった日には、ぬるめのお風呂にゆっくり浸からせてあげると、心も体もスーッとほぐれて効果的なのでおすすめですよ。
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まとめ
子供は大人に比べると嘔吐しやすいものですが、突然吐き気を訴えたり嘔吐したりすると心配ですよね。
吐き気や嘔吐以外に目立った症状がなく、しばらくするとケロッと治ってしまうということが何度もあるなら、もしかしたら自家中毒かもしれません。
自家中毒かどうかは簡単な尿検査ですぐに診断できるので、「自家中毒かも?」と思ったら小児科を受診して調べてもらうと安心です。
症状が軽い場合には飴を舐めるだけで治まってしまうこともありますが、飴だけでは治まらない場合などには、かかりつけのお医者さんで吐き気止めを処方してもらうこともできます。
園や学校に通っている子供の場合は、先生に症状や対処法について伝えておくと、子供も安心して過ごせますよ。
「自家中毒」と一言で言っても、年齢や性格、環境、症状の出方や重さは子供によって違いますよね。かかりつけのお医者さんに詳しく相談して、その子にとって一番いい対処法を見つけられるといいですね。